2013年1月27日日曜日

とあるエッセイの話

時はだいぶ遡りますが、去年の5月頃に社会学で一つのエッセイを書きました。
そのエッセイは「イギリスにいる異なる民族グループが持つ教育格差の問題」という題で、ちょうどその頃やっていた、教育の社会学的考察というトピックに基づいたものでした。

当初は何も考えずにそのエッセイを書いていたのですが、予想に反し先生は提出したときに高く評価してくれました。

しかもなんと驚くことに、先生は僕の答案をすべてコピーし、隣のクラスも含めてほかの生徒たちに配りました。

僕は最初先生の行動が理解できませんでした。なぜなら今まで先生は生徒の答案を褒めることはあっても決してそれを全員に見せるというようなことはなかったからです。

そこでなぜそんなことをしたのか訊ねると、先生は"Your response to this essay is  the most outstanding one I have ever seen in my teaching career and that is why I wanted show all the other students what my desirable answer looks like" 「このエッセイでのあなたの解答はいままでの教師人生で見てきた解答の中でもずば抜けている。だからこそほかの生徒たちにも、私が求めている解答はどんなものか知ってほしかったの。」と言いました。

そしてなんとその後のASレベル(一年生)最後の試験で全く同じ問題が出たのです。確かに先生は今までもことごとく予想を的中させてきましたが、これほど見事なまでにあたったのは初めてでした。

そして試験が終わりA2レベル(二年生)の授業で、先生はこういいました。「あのときタイジュの解答を見ていなかったら、何人かの生徒のグレードは一つ以上違っていたでしょう。」と。

僕は決して慢心している訳でもなく、そのエッセイも多分留学生の視点で書いたからこそ、民族問題に深くクローズアップした解答がつけれたのだと思います。

ただ先生の長い教師キャリアの中でも一番と評価してもらったのは、本当に大きなはげましとなりました。彼女のクラスからは今までオックスフォードやケンブリッジに合格した生徒もいるし、先生自身も超名門校LSE出身で毎年"the best teacher"に選出されているすごい先生だからです。

何はともあれ、この出来事は僕を大きく前進させるきっかけになりました。それをきっかけに僕のエッセイのグレードはどんどんあがり、今ではAが当たり前にとれるまでになれました。

そう、ある意味このエッセイは僕にとって転機だったのかもしれません。この間先生はこう言っていました。「今年もあなたのエッセイを使わせてもらうわ。」と。



2013年1月24日木曜日

GCE/Januaryを終えて


ようやく試験が終わりました。
今回は本当に自分との闘いでした。

今までは、出来なくて当たり前だったところから、自分で出来ることの幅が増えたというのが今回の手応えでした。

専門書の精読、アカデミックライティングの訓練、解答の質の向上など自分で取り組むべき課題が多く見つかり、「時間内に書き終わる」というステップから「より洗練されたエッセイを目指す」という段階までようやくたどり着いた気がします。

結果は三月に帰ってきますが、それが果たして自分の望むものであるかは分かりません。

ただ、確かに言えることは、僕自身もそして先生方も、著しい進歩を実感しているということです。

留学生、特に言語的なハンディキャップがある人は、学業で現地の学生と同じかそれ以上の結果を出すのは大変厳しいです。

しかしながら、周りの先生や支えてくれている人たちは、必ず努力している人を評価してくれます。

実は今回の試験は、僕にとって大きな山でした。
ケンブリッジに落ちて失意のどん底に一時はいたので、自信を持って試験に臨めるか本当に不安だったのです。

でもそこである先生が言ってくれた言葉が、僕を救ってくれました。
"Look at Taiju, he is an international student whose mother tongue is not English but he understands my words better than any of you guys!"
「タイジュをみてごらんなさい。彼は英語が母語じゃない留学生なのに、誰よりも私の言葉を理解しているわ!』

たぶん彼女が暗に意味していたのは、熱意や、物事に取り組む姿勢が、物理的な障害を凌駕するということだったのでしょう。

何はともあれ、こうして無事試験を終わることが出来ました。時間内に書き終わり、そして見直しまで出来る時間的余裕ができたのは本当に大きな進歩だと思います。

今出来ないことも、明日には出来る、明日出来ないことも一年後には出来る。
一歩づつ前進していくしかありません。